グローバル化

海外のDB年金は多くが閉鎖・凍結され、人事制度としての役目を終えている。すなわちレガシーの財務リスクであるDB年金のリスクに対しては、多くの企業がこれをノン・コアのリスクと捉えており、ノン・コア事業の売却と同様に保険会社へのバイアウトが進んでいる。

昨今、海外福利厚生保険分野のコスト削減手法として活用される国際プーリング制度について、その効果の減少が聞こえてくるが、実態がブラックボックス化している点もある。本稿では、関連するサービスを含めグローバルレベルでの現状と今後の展望を考察する。

マーサージャパンは 2023年4月、「男女の賃金差異分析レポート」をリリースした。男女の賃金差異を分解し分析することで、日本企業の賃金差異の現状に対する理解を深めることができた。本稿では、データに基づく見解を紹介する。

開示はもとより人件費を戦略的に配分することは企業の持続的な成長に向けて不可欠である。報酬と人材戦略を連動させ、どこで差別化を図りたいか特定した報酬フィロソフィーを策定の上、現状の運用を検証していただきたい。

日本企業がメンバーシップ型雇用を続けたことで、日本企業が90年代に保持していた競争力を失い、世界に反面教師として紹介されるに至った歴史を振り返り、今、ジョブ型雇用に取り組む意味を正しく捉えるための示唆を示す。

かつては400~500銘柄に薄く広く投資する「エンハンスト・インデックス運用」が成果を上げていた時期もあったが、グローバル金融危機を境に、「本当に良い企業だけを厳選して持つ」運用戦略が広がっていると感じる。

従来型は買収後も対象会社の状態を維持することを前提として現状把握を行うのに対して今後の変化を前提として将来志向の分析を行う。ディールスキームや買い手・売り手のパワーバランスによって実施項目は変わる。カーブアウトにおいて前のめりに実施する必要。HRについて現状把握に努めるのではディールチームから物足りなく映る。

Out-In案件のDDは課題探索型、In-Out案件のDDでは現状把握型。Out-In案件では経営者をリテインせず自社から送り込んだり外からプロ経営者を招聘したりする一方、In-Out案件では、現行経営者をリテインすることが既定路線となっていることが多い。Out-In案件における前のめりな姿勢を範として、こうした論点をIn-Out案件のHRDDでも取り入れておくべきである。

M&AにおけるグローバルHRガバナンスとは本国からの可視化とコントロールを実現する管理体制の枠組みだ。組織・レポートラインの一本化、人事制度の共通化、業務オペレーションの共通化を進めることで実現に近付く。Organic、In-Organicを問わず、グローバルレベルでの事業成長のためにはグローバルガバナンスの構築が不可欠。人事面がボトルネックとならないよう最低限の基盤整備を行う必要がある。

M&Aディールの成否を決めるマネジメントプレゼンテーションやエグゼクティブとのインタビューはITにより代替できるものがある一方、サイトビジット、海外の稼働環境、従業員の活力等はビデオカンファレンスだけでは伝わらない。IT、保険、年金等が親会社から提供されている場合やシェアードサービスによって他のグループ会社から提供されている場合承継先で新たに手当する必要があり、クロージングまでに情報を収集しておかなければならない。

TC260は既に採用や要員計画、ダイバーシティ＆インクルージョン（D&I）といった10を超す人材マネジメントのISO標準を発行しているが、その中でも特に注目を集めているのが、企業の人的資本に関する情報管理・開示のガイドラインISO30414（2018年発行）である。

事業再編においてもっとも肝心なのは、適切な大方針が出ることである。取締役会とCEO・CFOの果たす役割は非常に重要である。日本企業の重要テーマである事業再編のペースが責任者の交代によるスピード感と品質の担保で決まる。

売却に慎重であった日本の主要企業が大きく変わろうとしている。世界の主要企業は企業戦略と事業ポートフォリオを定期的に見直している（戦略レビュー、事業ポートフォリオレビュー）。日本にも売却と買収の両側を大々的に進める企業はある。日立製作所と武田薬品工業がその代表格だ。投資ファンドが買い手として重要な存在であることもよく分かる。売却では、事業の状態が良いうちに決断し実行すれば売り手も買い手も従業員もメリットを享受できる。

新型コロナウイルスの感染爆発によって、以前からの日本の重要課題を解決する格好のチャンスが来た。近年、我々は確かに生産性を改善し、時短も実現した。しかしUS比では、日本の相対的な生産性は全く向上していない。また実質GDPの伸びで見ても、日本は過去25年間（1993-2018）の年平均成長率が1.0％にとどまり、USの2.5％、UKの2.2％に大きく見劣りする。本稿では、事業再編や経営統合など、合理性に立った抜本的なアプローチを取り上げる。