ESG & サステナビリティ経営の実現に向けて
ESG&サステナビリティ経営の実現に向けた取り組みは多様ですが、その実現にあたっては、以下のようなステップに基づき検討を進める必要があります。
1. サステナビリティ達成に向けた企業価値の再定義
サステナビリティ達成のため、企業は短期的な経済価値の最大化ではなく、長期的な統合価値(経済価値・環境価値・社会価値)の最大化を目指すことが求められています。そのため、まずは自社を取り巻く経営環境を明らかにしたうえで、自社が目指す独自の価値を定義していく必要があります。
3. パーパスに基づく経営戦略の策定
4. マテリアリティの特定と経営戦略への反映
経営戦略策定にあたっては、自社の社会価値・環境価値にかかわるマテリアリティ(重要性)を特定する必要があります。自社独自のマテリアリティ(重要性)を特定し、経営戦略に反映することで、経済価値を含めた企業価値全体の最大化を実現していきます。
ピープル・サステナビリティ
マーサーでは、ピープル・サステナビリティの実現を4つの視点で整理しています。すなわち、雇用関係、健康・安全、処遇・経済状況、育成・成長機会の4つです。これらに加えて、あらゆる施策において、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の視点を一貫させていくことが重要です。
雇用関係(Employment Foundation)の視点
4つの視点のすべての基盤は普遍的な人権の尊重、仕事とそれに伴う雇用保障の基本的な必要性から始まります。雇用関係に対する責任ある取組みが保証されることで、従業員は長期的に貢献をすることができます。
健康・安全(Health)の視点
従業員の健康・安全は極めて重要であり、心理的安全性、身体的・精神的健康が確保された健全な職場環境の実現は、企業の責任という精神で積極的に形成されなければなりません。持続可能なワークライフバランスの達成を通じて、変化対応力のあるレジリエントな組織が実現されます。
処遇・経済状況(Wealth)の視点
従業員が退職後も含めてきちんとした生活を営むことは、雇用主と従業員の共通の責任であるといえます。貢献に応じた適切な報酬対価を受領し、持続可能な生活を送ることができるようにすること、退職後に尊厳ある生活を可能にする持続可能な年金制度の提供などが重要です。
育成(Development)の視点
従業員が自らの能力を発揮するための適切な機会と環境が与えられていること、仕事を通じて成長し、失敗から学ぶ機会が与えられていること、長期的・計画的に自己の能力・スキルを向上させるための十分な研修の機会が与えられていることは極めて重要です。個々人の育成が企業の持続可能な成長を可能にします。
ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)の視点
今日、従業員をはじめとして自社に関わる全ての人々が、性別・国籍・民族や性的志向性などによらず公正、かつインクルーシブ(包摂的)に扱われ、本来の自分らしさを発揮できるような環境を整備していくことが、あらゆる組織・企業に求められています。
マーサーは、ピープル・サステナビリティの実現は、あらゆる雇用・就業形態の人々に対して実現すべき雇用主の義務であり、これからの企業の成功にとって欠かせないものと理解しています。