ダイナミック・アセット・アロケーションのリサーチと提案

投資家のリスク許容度と目標リターンに見合うポートフォリオの構築をご支援します

長期資産配分戦略~動態的アプローチ~

DAAのリサーチと提案は、投資家の資産配分戦略を支援するサービスです。通常、資産運用では長期資産配分(広義の別称としてStrategic Asset Allocation=ストラテジック・アセット・アロケーション、SAA、政策アセットミックス等があります)を策定することで、投資家のリスク許容度に見合った、或いは、投資家が目標とする期待リターンに見合ったポートフォリオを構築します。

しかし、実際に運用が始まると各資産の価格変動によって、現実の資産配分と策定した長期資産配分との間で徐々に乖離が生じます。この乖離への対応として2つのアプローチがありますが、その中で「動態的アプローチ」に基づく資産配分戦略の支援が本サービスに当たります。(図表1)

(図表1)資産配分戦略における2つのアプローチ

図表2は動態的アプローチの概念図を示しています。考え方は長期資産配分と相反するものではなく、あくまで、「投資の時間軸は長期に置き、短中期における市場の歪みを活用したリスク抑制とリターン追求を目指す」という発想に基づいています。

(図表2) 動態的アプローチの概念図

マーサーの提供する動態的アプローチに基づいた施策は大きく分けて「非常時対応のリバランス」、「動態的負債ヘッジ戦略(ダイナミック・ディリスキング)」、「ダイナミック・アセット・アロケーション(DAA)」の3つがありますが、一般的に機関投資家で定められているガバナンスと照らし合わせて、導入のし易さの順に並べたものが図表3です。

(図表3) ガバナンス上のハードルと動態的アプローチに基づく施策

1つ目の非常時対応のリバランスの事例を図表4でお示しします。青色の分布は当初に想定した長期のポートフォリオの期待リターンと期待リスクより想定されるリターン分布で、紺色の折れ線がポートフォリオの実績のリターンです。ここで、赤色でマークされた実績のリターンは、当初想定されたポートフォリオの期待リターンよりも、遥かに上回っていることが分かります。これは長期の見通しに基づくと、何らか保有資産が著しく高騰している可能性を示しており、マーサーではリスク抑制の観点からリバランスを提言するケースとなります。更には、どの資産が高騰しているのかを個別に調べていき、要因の特定と、よりきめ細やかな対応が可能です。

(図表4)長期の想定リターンと実績リターンとの乖離に着目

図表5は購買力平価(Purchasing Power Parity:略称PPP)に基づき、円ドルの理論値±1標準偏差のレンジと実際のレートを示しています。上述した非常時対応のリバランスを通貨へ応用した動態的通貨戦略(ダイナミックPPP)で、赤色でマークされたように、円ドルの理論値と実際のレートの乖離が大きくなった場合に、通貨ポジションの調整を提言します。

(図表5)長期の通貨バリュエーション指標(PPP)用いた動態的通貨戦略

2つ目の動態的負債ヘッジ戦略(ダイナミック・ディリスキング)は、確定給付企業年金(以下、企業年金)を対象とした負債を抱える機関投資家へのサービスです。英国の企業年金を出発点に欧州や北米にまで拡大した考え方で、閉鎖済の企業年金を対象として、当初運用でリスクを取りつつ、積立状況の改善とともに徐々にそのリスクを低減していくアプローチです。日本では様々な規制があり現時点では実現は難しいのですが、最終的にはある程度の積立余剰となった段階で、外部の生命保険会社に資産と負債(=退職給付債務)をまとめて売却する(年金バイアウト)を狙うことが欧米では一般的です。(図表5)但し、日本国内においては、閉鎖済の企業年金が少ない、負債の定義が欧米と異なる(責任準備金、数理債務)、などの背景から手掛ける企業年金は少数です。

(図表6)動態的負債ヘッジ戦略(ダイナミック・ディリスキング)のイメージ

3つ目のダイナミック・アセット・アロケーション(DAA)は、10~20年の長期投資の想定に基づく長期資産配分(Strategic Asset Allocation:略称SAA)を補うための短中期(1~3)の資産配分戦略を提供するサービスです。長期均衡と現実とのギャップを収益源泉とするもの、とも言え、市場全般、個別資産を対象にファンダメンタルズ、バリュエーション、モメンタムなど幅広い視点を加味して、市場動向を分析し、今度の動向を推計した結果と、図表7のように、どの資産に投資妙味があるかをスピードメーターで提供します。

(図表7)DAAダッシュボード(例)