新たな章のはじまり

OCIOとは何か?

投資の意思決定から実行までをアウトソースする意義やメリットを深堀りします。

OCIOとは?

OCIO(アウトソースド・チーフ・インベストメント・オフィサー)とは、資産配分の決定から運用戦略の投資実行までを、外部専門家(コンサルタントや運用会社など)に包括的または部分的にアウトソースするサービスの総称。イギリスをはじめ海外では、フィデュシャリー・マネジメントやデリゲイト・ソリューションなどの名称でも呼ばれていますが、いずれも同じサービスを指します。

現在、確定給付型の企業年金などの資産運用は運用機関に委託して行われていますが、資産配分や委託する運用機関および運用商品の決定など、運用結果に大きな影響を与える判断は、企業年金などのアセットオーナー自身が行っています。欧米では、この企業年金などが担っている資産運用業務をアウトソースするOCIOサービスが広がりを見せており、長期的な視野から企業年金などの資産運用の選択肢の一つとなっています。資産運用の最終的な目的は、最小の費用とリスクで必要な期待リターンを得ることや許容リスクの範囲内で最大のリターン獲得することなどが挙げられます。しかし、多くの場合、リソース配分と重要性の間にはギャップが生じています。

資産運用で最も重点を置くべきは、その目的と目標設定です。OCIOは、投資ポートフォリオの日々の管理責任を引き受ける(マネジャーストラクチャー、マネジャーセレクション、モニタングまでを担う)ことで、運用担当者・内部スタッフが中核業務、すなわち戦略的方向性を設定し、それに投資方針を一致させることに集中することを可能にします。

資産運⽤のプロセスとアウトソース

目的・目標の策定と、OCIOプロバイダーのモニタリングはアウトソースできません。OCIOにアウトソースする範囲は、アセットクラス、ポートフォリオ、ストラテジーと大きく3つに分類できますが、クライアントのニーズに合わせた様々なパターンが考えられます。

OCIOをアウトソースする範囲

部分的OCIOの一例として、特定のアセットクラスにおけるアウトソースがあります。OCIOプロバイダーは厳選された運用会社・運用戦略を組み合わせ、事前のデューデリジェンスから投資の実行、さらには投資後のモニタリングやリバランスまで、投資家が必要とするソリューションを提供します。また、ストラテジーのアウトソースは包括的OCIOを指します。

包括的に運用をアウトソースするOCIO

OCIOは、クローズド・アーキテクチャー型とオープン・アーキテクチャー型に分類されます。ポートフォリオに組み入れる運用戦略を、自社グループ中心に構築する場合はクローズド型、外部運用会社をメインに構築する場合はオープン型といいます。マーサーでは、コンサルティングという立場から、これまで培ってきた経験・知見に加え、200名を超える体制で11,000以上の外部運用商品をカバーする業界最大規模の運用商品リサーチチーム等を活かして運用商品を分析し、世界中の運⽤商品の中からベスト・イン・クラスのものを選びポートフォリオを構築するオープン・アーキテクチャー型のサービスを提供しています。

OCIOの分類:クローズド・アーキテクチャーとオープン・アーキテクチャー

海外では年金基金だけではなく、保険会社、財団、学校法人などの運用においてもOCIOの活用が進んでいますが、日本では認知度が十分に上がっておらず、そのメリットが浸透していません。しかし、2024年8月の内閣府によるアセットオーナー・プリンシプル(AOP)の公表を受け、2025年6月末時点で219のアセットオーナーが受入れを表明しており、今後より多くのアセットオーナーが受入れると予想されます。AOP原則2として、アセットオーナーは適切な運用を行うに当たって、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部人材・組織活用等を検討すべきという内容があり、コンサルティング会社やOCIOの活用が挙げられています。この機会に、これまでの資産運用のあり方を再点検し、根本的な改善を行うきっかけであると捉え、本質化させていく過程のビジネスパートナーとして、マーサーは日本のアセットオーナーにクオリティの高いサービスを提供してまいります。