インパクト投資の事例 

2023年4月22日

インパクト投資には、社会的利益と財務的リターンの最適な組み合わせを見つけることに注力した適切な運用機関と戦略へのアクセスが必要です。

サステナビリティをテーマにした投資と、より的を絞った意図的なインパクト投資のアプローチの両方が、広く受け入れられ始めています。これは、私たちの経済システムが依存している社会的および自然のエコシステムが苦境に立たされていることに、多くの投資家が気づいているからです。また、金融の世界は社会的および環境的圧力と紛れもなく相互に繋がっていることが認識されており、常に明確な意図を持ち、「未開拓」の分野での成果を目標としています。こうした未開拓分野とは、「底辺の10億人」のニーズを満たす、または気候変動、水不足、生物多様性などの重要な環境課題への取り組みなど、特定のグローバルな課題を指しています。

気候変動や拡大する社会的不平等といったシステミックリスクは、投資家がこうした投資アプローチを受け入れることの重要性をますます高めています。インパクト投資には、世界で最も差し迫った問題に取り組むために資本を投下すると同時に、目標とするリスク調整後リターンを確保することが含まれます。

インパクト投資は決して新しい概念ではありませんが、ポートフォリオマネージャーが、投資家の資金が社会的・環境的インパクトをもたらすと同時に、投資家の財務的目標の達成を支援する必要性を徐々に受け入れているため、現在ではより一般的になってきていると言えるでしょう。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、投資家がグローバルな課題に取り組み、すべての持続可能な戦略に優先順位を設定するための包括的なフレームワークを提供しています。多くの投資家は、SDGsの目標がインパクト投資なしでは達成できないことを理解しており、そのためすべての関係者に私たちの決定と投資の効果を理解していただくことが重要です。

インパクト投資の構成要素は何か? 

インパクト投資には、意図性(Intentionality)、測定可能性(Measurability)、財務的リターンの追求(Financial Returns)の3つの要素があります。これらの詳細は、こちらをご覧ください。これら3つの要素に取り組むことで、投資戦略に大きなインパクトを与える可能性が生まれます。しかし、追加のインパクトレンズを通してアプローチを構成することで、さらにその効果を高めることができます。一部の投資家は、特定の領域で真に変化をもたらすには、期待収益率を下げる必要があると考えているかもしれません。しかしながら、それはほとんどの投資家にとって当てはまりません。

インパクト投資のレンズを活用することで、ポートフォリオマネージャーは従来の市場に匹敵するか、これを上回る可能性のある、様々な資産クラスにわたって最も魅力的な機会を特定できます。グローバルインパクト投資ネットワーク(Global Impact Investing Network,GIIN)の調査によると、2019年12月現在、1,720以上の団体が7,150億米ドルのインパクト投資を運用しています。そのパフォーマンスの分析結果は、以下の通りです:

67%

67%がリスク調整後の市場平均リターンを目指していた

88%

88%が期待を上回る、または期待した通りのパフォーマンスを観測した

インパクト投資における主な焦点 

  1. インパクトのあるプロダクトとサービス
    これらの活動は、ビジネスの周辺ではなく、中核となるべきものであり、人々や環境など、十分なサービスを受けていないステークホルダーの差し迫った問題を解決する成果をもたらすように設計されています。 
  2. システム思考
    このアプローチは、私たちが社会システムや環境システムに依存していること、そしてそれらが互いに本質的に関連していることを認識するものです。例えば、再生可能エネルギー戦略の一環として、分解・再生が可能なソーラーパネルやバッテリーを採用することで、資源の浪費を防ぎ、二次的な影響に対処するなど、サステナビリティを意思決定プロセスに真に組み込むことを目的としています。
  3. ターゲットを定めた成果と測定
    最初から測定可能な目的を定義することは、インパクト投資の柱となります。投資家は、提供された追加資本や投資によって、どのような新しい利益が直接もたらされるかを説明できる必要があります。
  4. 認められているサステナブルなフレームワーク
    投資可能なテーマやトピック、指標、ターゲットやインパクトの成果など、投資アプローチや課題を分類するために共通の言語を使用することは、すべてのステークホルダーに理解される明確で一貫したコミュニケーションの構築に役立ちます。

インパクト投資に対する意欲を高める

インパクト投資は、経済的なリターンを求めながら、社会的・環境的インパクトを生み出すことを決意した投資家によって推進される、エキサイティングかつ急速に成長している分野です。インパクト投資の詳細については、最新のレポートをご覧ください。

インパクト投資に対するテーマ別アプローチ 

投資家がインパクトのテーマやトピックを優先する方法はさまざまですが、マーサーのアプローチでは国連のSDGsを5つの分野にグループ分けしています。「環境」カテゴリに3つ、そして「社会」カテゴリに2つです。

    インパクト投資のジャーニーを始める

    投資家による投資判断が、地球にプラスの影響を与えられるようにする必要性はますます急務となっており、ポートフォリオマネージャーがインパクト投資を取り入れる強い動機となっています。ここでは、投資家がインパクト投資ジャーニーを始めるにあたって、見直すべき3つのポイントを紹介します:
    • 意図と目標

      • 投資委員会、組織、ステークホルダーが何を期特しているのかを特定します。
      • 国連のSDGsのうち、どの項目を対象とするかを決定します。
      • 十分なサービスを受けていない重大な課題にソリューションを提供するための意図とリソースを特定します。
    • 現在のエクスポージャー

      • アクセスしたいインパクト投資のテーマに、お客様の既存のポートフォリオがどの程度のエクスポージャーがあるかを確認します。
      • あなたのポートフォリオは、インパクト投資へのアクセスを得るために使用される可能性のある資産クラスへのエクスポージャーをどの程度お持ちですか?
    • レポート機能

      • インパクト投資の成果を報告する方法を設定します。
      • 最新の報告フレームワークやツールを利用するために、スキルやテクノロジーへの投資が必要かどうかを確認します。
    著者
    Jillian Reid
    Hill Gaston
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