HR Operations Scanner:人事機能再設計に向けた分析ツール

人事機能は、適所適材・適時適価での人材調達・活用を促す、経営の戦略的パートナーとしての役割を期待されています。HR Operations Scannerは、人事機能の現状を定量的に可視化し、人事機能変革を支援します。

人事機能変革の必要性と課題

労働人口の減少や人材流動化の加速、労働者の就労意識の変化などを背景に、日本の労働市場は大きく変化しています。これに伴い、人事機能や組織に期待される役割も変化しています。

従来の人事機能への期待値

従来の人事機能は、終身雇用が前提のコミュニティ内で、ルール・規範の番人としての役割を期待されていました。そのため、コミュニティ内の公平性の担保を重視し、ルールに基づく正確かつ効率的なオペレーションが必要とされていました。
従来の人事機能への期待値

今後の人事機能への期待値

今後の人事機能は、経営戦略実現のために、適所適材・適時適価での人材調達と活用を促す、経営の戦略的パートナーとしての役割を期待されています。そのため、コミュニティ外との接続を意識した外部競争力を重視し、経営戦略に沿ったワークフォースプランニングに基づくタイムリーな人材の確保・有効活用がより一層求められています。
今後の人事機能への期待値
このように変革の必要性が高まる一方で、人事機能は様々な課題を抱えています。

一般的な人事機能変革における課題

マーサーの調査では、一般的な人事機能変革の課題として下記4点が明らかとなりました。
  1. 戦略的人事業務に注力できていない
  2. テクノロジーの活用が十分にできていない
  3. 人材獲得において迅速な対応ができていない
  4. 人事要員が足りていない

ジョブ型人材マネジメントへの転換が人事業務運営に及ぼす影響

とりわけ、ジョブ型人材マネジメントへの転換を契機に、ビジネスニーズを起点とした要員計画・ジョブの策定、必要な人材の確保・活用・リテンションに向けた各種人事施策の企画・実行など企業内の人事業務にも変化が求められています。

また、これらの業務は、ビジネス環境の変化に追随した対応が必要であることから、人事部門・ビジネス部門の人事担当者の負荷は従来と比較して高まっており、企業としてより効率的な人事業務運営を行うことが重要になっています。

人事機能再設計に向けた分析ツール:HR Operations Scanner

人事機能変革および人事業務の課題解決にあたり、自社の人事機能・組織の現状を正確に把握し、改善点を明確にすることが重要です。マーサーでは、独自の調査ツールであるHR Operations Scanner(通称HOS)を活用し、人事機能実態を定量的に把握・分析することが可能です。

HOSは、500を超える人事業務を記した業務辞書から各担当者が従事している活動を入力することで、既存の人事担当者がどのような業務にどの程度時間を費やしているかを可視化し、経営の戦略的パートナーとして本来実施すべき業務やそれらの業務に割く時間を捻出する上での業務プロセス・業務分掌上の改善点を特定するサーベイツールです。

HR Operation Scanner

HOSの分析を通じて、下記3点の示唆を得ることができます。

  1. 人事業務の可視化
    人事業務ごとの工数やコスト、全体に占める割合を集計・可視化し、業務効率化に向けた示唆を得ることができます。500超の人事業務項目に基づく業務辞書は、ジョブ型人材マネジメントにおいて求められる業務もカバーしていることから、同人材マネジメント下での効率的な人事業務運営に関する分析が可能です。
  2. 人事機能の最適配置
    人事機能は、「事業戦略実現に向けた人事課題を解決する役割(HRBP)」、「専門知見の提供・全体施策の設計・モニタリングを行う役割(CoE)」、「オペレーションサービスを提供する役割(SSC)」の3つに大別できます。HRBP・CoE・SSCの性質ごとの工数を集計・可視化すると共に、各機能の最適配置に向けた分析が可能です。
  3. 職位ごとのあるべき業務配置
    マーサーが定義する各職位(ジョブレベル)が担うべき業務内訳と自社の実態を比較することで、あるべき姿とのギャップを認識することが可能です。

アウトプットサンプル

HR Operation Scannerアウトプット例

ご参考│人事機能の体系

人事機能は、下記3つの区分があります。

#1 HRBP:
企業戦略・事業戦略に基づいた人事戦略の構築・実行・支援及びそれに必要な問題解決を担う役割です。 HRBPは、経営・事業のパートナーとして位置づけられるため、事業部門・経営等マネジメント単位で設置され、事業固有の状況・課題に応じた人材マネジメントの実現が求められます。

#2 CoE:
専門知見の提供・全体施策の設計・モニタリングを行う役割です。具体的には、要員計画、報酬、採用、人材開発、育成等の各人材マネジメント領域で知見の集積を行い、全社人材マネジメント施策の立案、人事制度、ポリシーの策定、施策定着・統制のためのモニタリング、中央人事として実施すべき施策(タレントマネジメント、人材育成等)の企画・実行が求められます。

#3 SSC:
人事に関わる定型業務を中心とした業務処理を行う役割です。具体的には、給与計算、福利厚生、採用実務など一定のルール・基準に基づいた大量の業務処理を行います。そのため、品質の標準化・向上やコスト面からの効率性・生産性の向上が求められます。

人事機能の体系

HOS活用事例

大手電子部品メーカーがHOSを活用した人事機能調査を実施した結果、業務効率化・最適な機能配置に向けた複数の示唆が明らかになりました。

  • 人事が担う業務カテゴリー別では採用(約16%)、人材・育成(約10%)、労務関係(約10%)が上位を占め、業務の性質別では、事務・手続き業務(約52%)に最も工数をかけていることが判明しました。業務項目別の工数を分析した結果、問い合わせ業務や異動・入社時の各種手続き、評価関連業務は集約化の余地があり、運営業務の一部は外部委託を含めた検討が望ましいことが判明しました。

  • HRBP候補社員が実施する業務のうち約88%は、本来CoEまたはSSCが担当すべき業務であったことや、マーサーが定義するHPBPが担うべき業務のうち約60%は未実施であったことから、HRBPの機能を再定義する必要性があることが判明しました。

  • SSCに集約可能な業務が約55%あったことに加えて、SSCが担当するべき勤怠管理・給与計算・人事情報管理・異動業務の大半がSSC以外で実施されていたことから、これらの業務を優先して集約する必要があることが判明しました。

  • 職位ごとのあるべき業務配置を分析した結果、全体傾向としてマネージャーおよび事務職が担当するべき業務を専門職が担当していたことから、各職位が担う業務に改善の余地があることが判明しました。

HOSサービスお申込みから診断結果ご提供まで

HOSサービスはお申込みから調査準備、調査実施、分析、診断結果レポーティングまで約2か月でご提供可能です。調査準備期間では、調査回答者(原則、全人事業務担当者)のリストをご提出いただき、マーサーにてアンケートツールのセットアップをいたします。実際の調査では、WebアンケートURLから担当者ごとに現状従事している業務を選択・工数割合をご回答いただきます。診断結果はPDF形式のレポートとしてご提供し、必要に応じて対面でのご説明も実施させていただきます。
お申込みから診断結果提供までの流れ

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