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アセットオーナー・プリンシプル原則5への対応 

『オルイン』(2026年夏号 掲載)

この数年、アセットオーナーを取り巻く状況には大きな変化があった。政府の資産運用立国実現プランの一環としてインベストメントチェーンにおけるアセットオーナーの役割がフォーカスされ、2024年にアセットオーナー・プリンシプル(AOP)が定められた。アセットオーナーの運用力強化による受益者への利益とともに、投資先企業の中長期的な成長に寄与することへの期待が示された。

 

これに対し2026年4月末時点で365のアセットオーナーがAOPの受け入れを表明しており、このうち企業年金は269に上る。AOPでは、運用の目的・目標および方針(原則1)、体制整備(原則2)、運用方法の選択およびリスク管理(原則3)、ステークホルダーとの対話(原則4)とともに、スチュワードシップ活動(原則5)について定めている。原則5は投資先企業の成長に果たすアセットオーナーの役割という観点から重要な原則であるが、「オルイン」の調査では、実施が困難との回答が最も多かった原則でもある1。また、企業年金のAOP受け入れ表明文に関する民間の調査では、補充原則5-2で記載されているサステナビリティ投資について9割以上で言及がなかったことが報告されている2

 

同調査も指摘しているが、わが国ではサステナビリティ課題に関して積極的な取り組みを行っている企業は多い。日本企業はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)サポーターの数で英国に次ぎ二位、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)アダプターの数で世界一であり、企業理念でサステナビリティ課題への貢献を挙げている企業は多い。企業年金においてはこの点についてステークホルダーである母体企業の考え方とのアラインメントを検討する余地はないだろうか。個人を対象とした金融庁の調査ではサステナブル投資への一定の関心が確認された3。年金加入者でも潜在的なニーズはあろう。実際加入者へのサステナブル投資に関するアンケート調査を行い、結果を参考にして運用しているケースもある。プライベート資産を含め、気候変動のみならず、自然資本や社会課題にフォーカスしたインパクト投資戦略などサステナブル投資のプロダクトは多様化しており、投資の分散という観点から採用が広がっているものもある。AOPへの対応を契機に、原則5に関連する取り組みについてもさらなる進展の余地があろう。

「アセットオーナー・プリンシプルへの対応は 調査から読み解く企業年金の現状と展望」「オルイン」vol.74 (2024)
2 「アセットオーナー改革の現状と課題」大和総研(2026)
3 金融庁「国内外におけるサステナビリティ投資の実態等に関する調査最終報告書」(2025)
著者
物江 陽子

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