指数(Index)とはいったい何?
日々の生活の中で知能指数、不快指数、消費者物価指数など、○○指数という言葉を聞くことがある。この「指数」という言葉の意味を広辞苑で調べると次のとおり説明されている。
ある事象の性質や程度を示す指標として、特定の方式で表した数値
…「知能指数」、「不快指数」
(index number) 物価・賃金などの年々または月々の変動を、一定時を100として比較する数値
…「物価指数」
(exponent) ある数または文字の右肩に付記し、その累乗(るいじよう)を示す数字または文字。羃指数(べきしすう)
そして、指数を英語ではindexと表されている。 筆者が勤務する部門(インフォメーション・ソリューションズ)では、グローバルモビリティーの分野において「海外派遣者給与」を決定するための情報を提供している。その情報としては、“国/都市別の生計費指数やハードシップ手当を決定する為の指数やツール、住宅手当、教育手当などのコーポレートサポート(福利厚生制度)に関するレポート”などがある。このように当社でも生計費指数(Index)という名称の指数を提供している。そして、当社が提供している生計費指数(Index)は、上記1から3のどの説明に該当するのかを考えてみると1ではないかと思っている。その理由として、生計費指数(Index)は以下の特徴を有するためである。
生計費指数(Index)は、本国(日本)の水準を100として、任地(海外)との相対的な物価差を表すためのものであり、(a) 任地の物価、(b) 本国の物価、そして(c) 為替という3つの要素で変動する。この物価差を把握するために、本国と任地で物価調査を行い、それぞれの価格を比較している。本国と任地とでは通貨が異なるために、任地での価格を本国通貨(日本円)に換算して比較することになる。生計費指数(Index)が100より大きい場合、日本円での任地におけるコストは本国のコストを上回っていることを示しており、100未満の場合、下回っていることを示している。
但し、ここでご注意いただきたいことがある。生計費指数(Index)が100を上回っているからと言って必ずしも任地での物価が、本国よりも高いとは限らないということである。前述のとおり生計費指数(Index)は、任地と本国の物価変動以外に為替レートにより変動するためである。任地と本国の物価が変わらなくても、為替レートが円安になると生計費指数(Index)の値は上昇し、円高になると生計費指数(Index)の値は下落することになる。
例えば、アメリカに旅行して1個1ドルでハンバーガーが購入できるとする。今のように1ドル=103円という為替レートであれば103円あればハンバーガーを購入することができる。しかし、為替レートが1ドル=120円と円安に変動すると、1ドルのハンバーガーを購入するためには120円必要となり、1ドル=80円と円高に変動すると、80円あれば1ドルのハンバーガーを購入できるようになる。実は生計費指数(Index)も同じような仕組みであり、本国と任地の価格は変わらなくても、任地の価格を日本円に換算するときの為替レートによりその値は変わってくるのである。
本国の水準が100なので、誰もが100を上回っていると得した感覚になり、100を下回ると損した感覚になる。しかし、当社が提供している生計費指数(Index)は、その生計費指数(Index)を算出する際に使用した為替レートにより変動するものであり、生計費指数(Index)の表面上の値だけを見て、一喜一憂されないようにご留意いただきたく思う。 最後に生計費指数(Index)は本国と任地の相対的な物価差を表すためのものであるということで、よく消費者物価指数(Consumer Price Index)と同一視されることがある。しかし、上記2の説明に該当するのが消費者物価指数であり、両者は似て非なる指数である。次回以降のコンサルタントコラムにおいて、生計費指数(Index)と消費者物価指数の違いをご紹介することができればと考えている。