男性の育休取得と女性活躍の関係 

27 2月 2020

世界経済フォーラムが2019年末に発表したジェンダー・ギャップ指数で、日本は153ヵ国中、過去最低の121位となった。ランキングを2018年の110位から大きく下げている。一方で例年実施している同フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)でのマーサー主催イベント「When Women Thrive, Business Thrive - 女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する」には今年三菱ケミカルホールディングス株式会社が日本企業からパネリスト参加をされ、マーサー主催の同タイトルの調査にも日本から有意な数の企業の参加があり、企業における女性活躍への関心は高まっている。

そのような中、先般小泉環境相の「男性による」育休取得が話題になった。特に海外からは、自国では男性の取得が当たり前であり、日本で男性の取得率が6.16%(2018年厚労省調べ)と低いことに驚く声が多くきかれた。この「男性の育休取得」を、小さなこどもを持つ働く「女性の活躍」との関連で見ていきたい。

まず、日本における育児休業制度とはどのようなものか。現在につながる法定の育児休業制度は、日本では1992年に所得補償のない状態で施行、1995年に雇用保険による一部所得補償が導入され、その後何度かの改正を経て現在では原則として休業開始時賃金月額の50%(休業開始後6か月間は67%)支給される。

父親の育児休業取得を促す仕組みとして、取得回数と期間の特例がある。子1人につき原則1回である育児休業の回数を、子の出生日から8週間以内に父親が最初の育児休業を取得した場合に2回目の取得を可能とし(「パパ休暇」)、また原則満1歳までの育児休業期間に対して、夫婦の両方が時期をずらして取得することによって、子どもが最大1歳2か月まで休業を可能としている(「パパ・ママ育休プラス」)。

それでも男性の取得率は大きく上がっていない。主な理由として、「会社での育児休業制度の未整備(27.5%)」に加え、「業務繁忙による職場の人手不足(27.8%)」、「職場で育児休業を取得しづらい雰囲気(25.4%)」等が挙がっている(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成29年度))が、取得後に職場で不利な扱いを受ける等のパタニティハラスメントの存在も否めない。共働き世帯が1997年を境に増加し、専業主婦世帯の2倍を超すようになっても(2018年男女共同参画白書)、共働き世帯の夫の家事・育児にかける時間は1日平均46分(妻は4時間44分)と大幅な差がある。(2016年社会生活基本調査)。

この男性の育児休業取得の促進は、特に日本企業、また日本社会にとってどのような意味があるだろうか。それは、働く女性の活躍の加速である。私は女性の活躍を阻むもののひとつとして、専業主婦世帯が多かった時代の名残で、育児は母親がすべき、従って女性は(仕事をしていても)家事・育児をメインで負担すべきという考え方とそれにより、女性が家事・育児に時間を取られすぎている状況があると考える。

特に子どもが小さい時には、保育園に子どもを迎えに行き、食事を与え、寝かしつけてから夜仕事をする、というサイクルが続くと心身共に疲弊し、当初希望していてもより重い役割を担うことに逡巡するリスクは必ずある。

せっかく管理職になっていても、疲弊して管理職を降りる決意をするケースも存在する。なお、この「ワンオペ育児」を助長しているのが、女性(母親)のみによる育児休業制度の取得だと考えており、この間に母親が家事・育児をメインでカバーする状態が確立してしまうと、仕事復帰後にその状況を変えることが難しくなる。

男性(父親)側も、手伝おうにも習熟していないので対応が難しく、また入る隙がないということになる。男性が育児休業を取得することにより、まず育児をしっかりと体験するので、母親(女性)と役割分担ができる知識とスキルが身に付き、子どもとのアタッチメントが高まる。この経験は早い段階で行うほど効果がある。主に母親が育児休業を取得する現状においては、男性(父親)は産後直後と、女性(母親)の仕事復帰の前に2回取得できると、比較的初期に育児・家事の分担ができ、女性の早期の仕事復帰とその後の仕事と育児・家事のバランスがとりやすくなるのではないかと思う。

育児は母親がするものという固定概念を崩すには大きな力が必要となる。職場で実質的に促進するなど、経営側も現場も取得を本気でサポートする風土を作らないと、給付金を80%に引き上げても男性の育児休業取得は促進されないと考える。また、実際に取得する場合には、うまい引継ぎや生産性の向上も求められるだろう。

働き方改革、日本の雇用・人材マネジメントの改革の一環として、ぜひ特に日本企業で男性の育児休業取得に向けた後押しをしていけると理想的である。まずは各企業で定めている年間5日程度の有給の「育児休暇」の取得からスタートするのでも意味があると考える。

著者
島田 圭子

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