Dialogue

コンサルタント対談No.3 (高田 充 x 大薮 太郎)

対談参加者

高田 充

社外でプロボノ活動に従事

人事制度やサクセションプランの策定支援、役員報酬制度の改定、シニア社員制度の設計等、組織・人事領域における広範なプロジェクト経験を保有。組織・人事戦略プラクティスグループでは、大手日系企業における人財ポートフォリオの可視化、APAC統括拠点の組織設計支援、ターンアラウンド期の組織設計や経営戦略変更に伴う人事戦略の策定支援、エンゲージメントサーベイの設計・アナリティクスを通じた組織開発などに従事。

大薮 太郎

社外でアメフトチームのコーチを担う

2021年新卒入社。日系製造業を中心とした役割評価の実施、等級・報酬等人事諸制度の構築、組織設計プロジェクト等、組織・人事領域における様々なプロジェクトに参画。


社外活動で感じる、手ごたえと世界の広がり

高田:私は、マーサーでの直近のプロジェクトとして、組織・人事領域での構造改革の実行支援や、ジョブ型人事制度の導入支援等を担当していますが、社外活動として、 NPO法人に対するプロボノ活動(専門スキルを用いた無償の支援)に参加しています。その支援内容は、事業計画の策定やファンドレイズ、マーケティングなど多岐に渡ります。きっかけは、経済産業省とマーサージャパンが事務局を運営した研究会を通して、越境学習(職場とは異なる環境で働くことで、これまでとは異なる新しい視点を培う学び)という考え方に触れたこと。興味を抱き、トライアルで始めて、気づけばもう4年です。プロボノでは案件によりマネージャーで入ることもあれば、メンバー・アナリストという役割で関わることもあります。

大薮:最初は好奇心で始められたんですね。私はマーサーではメーカーの人材マネジメント変革のご支援を担当しつつ、プライベートでは、社会人、大学、高校と3つのアメフトチームにお伺いし、コーチをさせて頂いています。特に高校では、コーチの指導内容の管理、OB会とのコミュニケーション、ゲームプラン作成などマネジメント全般を担っています。グラウンドにも入りますし、オフラインミーティングもあります。週末はほとんどアメフト三昧です(笑)。とはいえ、私は完全に趣味でやっているのですが、高田さんの場合はちょっと違いますよね。興味があるとはいえ、仕事と重なる部分も大きいですし、ある程度の期間はコミットする必要があり時間的に拘束もされる。プロボノ活動の魅力はどんなところにあるのでしょうか?

高田:まず挙げられるのは、実際に支援する方との距離の近さ。マーサーのビジネスでは支援先企業様の人事部の方・経営層の方がカウンターパートになることが多いのですが、プロボノ活動では、その事業を起業したオーナーの方や立ち上げメンバーの方とプロジェクトを進めることになります。並々ならぬ情熱を持ちながら立ち上げた事業の業務や組織の課題に向き合っているため、支援する立場としてもダイレクトにオーナーの想いや考えを受け止めなければなりません。また、来期の事業計画もないような切迫感のある状況も多く、「自分が支援したことが直接相手への助けになっているんだ」という手ごたえを感じることは多々あります。

大薮:携わっているプロボノ活動には、色々な熱いエピソードがありそうですね。

高田:直近では、障がいがある方々への就労支援を行うNPO法人のクラウドファンディング支援に携わりました。その土地には伝統的な郷土玩具があるものの継承者が見つからず、「これはよいものだから、郷土玩具を通じて地域をもう一度盛り上げよう」というプロジェクトが発足。クラウドファンディングで調達した資金で製造設備を整え、そこで造った玩具は日本おもちゃ美術館主催の「グッド・トイ」賞を受賞することができました。

大薮:目に見える結果に繋がる取り組みは、とても手ごたえがありそうですね。

高田:手ごたえがありますし、やらねばならないという使命感にも駆られます。大薮さんはどうですか?ほとんどの週末をアメフトの活動に費やしていますよね。その原動力となっているものは、興味以外に何かありますか?

大薮:もともとは、大学を卒業した後に、各チームの方から「手伝ってくれないか」と声をかけて頂いたことがきっかけです。ただ、各チームのサポートをおこなっていくにつれて、「競技力を伸ばしたいけれど方法が分からない」、「社会に出た後も高いレベルでアメフトを続けたい」という、純粋にアメフトに向き合っている選手をサポートしたいと思うようになったんです。また、高校生チームであれば、より効率よく上手なる方法を教えたい、大学生チームであれば、就職にもいい影響を与えてあげたい、といったように、「アメフトを通じて、人々の目標達成をサポートしていきたい」という想いが一番大きいですね。

高田:やっぱり、やりがいや手ごたえが大きいですよね。それがなければ、ここまで続けることはできなかったと思います。

相互作用をもたらす仕事と社外活動

高田:もちろん、やりがい以外に得られるものもあります。たとえば、それぞれに専門性を持つ多様な方々とチームを組成することで、「どのように役割分担してプロジェクトを進めていくべきか」という視点で新しい学びがありました。もうひとつ大きな学びは、いろいろな経験や熱い思いがある方との交流。彼らの思いを汲み、テーマに対するリテラシーの幅にも配慮しながらのコミュニケーションは、いい経験となっています。また、臨機応変に対応しなければならないシチュエーションも多く、不測の事態に対応する力も養われました。

大薮:私の場合は、大勢の選手やコーチを管理したり、最終的な判断を下したりすることで、プロジェクトマネージャーの仕事を疑似体験できているように思います。「プロジェクトマネージャーの立場だったら、こんなことが気になるだろう。だから、こうしよう」と考えられるようになりました。1つ上のロールの視野や視座を早いうちから持てるようになったのは、社外活動をしていたからこそだと思います。

高田:ネットワークも広がりました。デザイナーや、定年退職をして地域支援的な活動として参加されている方、大企業の経営企画室や技術者……。プロボノ活動には、さまざまな職業やポジションの方が参加しています。自分とは異なる専門性やカルチャー、考え方を持つ方々とご一緒するのは、とても刺激的です。

大薮:会社の外に視野が広がると、マーサーの素晴らしさに気づくこともありますよね。先ほどもお話しましたが、私はプロジェクトマネージャーがこんなふうに自分たちのことを見てくれているんだろうな、と考えるようにもなりました。

高田:私も社外で体験してみて気づいたことがあります。それは、マーサーで得られるコンサルティングのスキルは、とても応用が利くということ。NPO法人支援はその都度内容が異なるので、経験のないテーマに触れることもあります。そんなときに活かされているのが、課題を読みほぐし、プロジェクトの完成に向けたタスクとスケジュールを引くということ。これは、普段のプロジェクトワークで実践していることなんですよね。

大薮:それはすごく共感できます。問題を特定する→タスクに落とす→スケジュールを引く→タスクを実行するという流れは、日々のコンサルティングワークと同じですものね。こういった社外での活動に対して、マーサーはとても寛容ですし、応援してくれている印象を受けますが、高田さんはどの様に感じますか?

高田:本業でお客様に価値を提供することは、コンサルタントとして絶対。でも、別の世界を持つのは、コンサルタントとしても個人のキャリア形成としてもよいことだよと、後押しされているのを感じています。

大薮:コンサルティングワークと社外活動のバランスが保てるのはありがたいですよね。もちろん、最優先はコンサルティングワークだけれど、そこで成果をあげた上でアディショナルとして活動することは良いことだから、どんどんやれと言ってくれる。実際に、社外活動をしている上司もいますしね。

豊かな経験が、コンサルタントに必要な力を養う

高田:これから手掛けたいのは、長期的に組織にコミットして、より良い環境を作ること。事業の内容まで踏み込んで、一員として手助けしていくような活動を始めたいと思っています。

大薮:私は社外活動では、まずはナショナルチャンピオンを目指します。その先の目標は、関わったチームの価値を底上げしてブランドを築くこと。サポートしている大学や高校は教育機関でもあるので、ただ強いだけ、ただゲームに勝つだけではなく、社会からより必要とされる人材を輩出していきたいと考えています。
仕事の目標は……、まずは一人前のコンサルタントになること!お客様に課題の解決策をご提案して、買って頂くところまでできてコンサルタントと呼べると思うので、早くそこに達しなければ、と思っています。

高田:まだ入社1年目ですから、これからですよ。大薮さんのような、多様な経験を積んで、これまでの自分にないものを得ようと挑戦する意欲的な方と一緒に仕事するのは、とても刺激的です。

大薮:何かしらの形で自己研鑽を積んでいる人と仕事をすると面白いでしょうね。自分の知らないことの一端を、その人を通じて知ることができますし。

高田:上司の方々を見ていると、人生の中で多くのものに出会って、色々な経験を活かしながら誰かを助けたい、という姿勢がコンサルタントには不可欠なんだなあと実感します。色々な経験をしていく、知らない世界に飛び込む、そういうことを躊躇しない姿勢は大事なのかな。

大薮:そうですね。高田さんのチャレンジをもっとお聞きしたいです。

高田:私も大薮さんのお話を聞きたいです。では、この続きはランチをしながら(笑)。