プライベート市場: アジアの投資家が今こそ資産を配分すべき理由
11 7月 2025
グローバル市場のボラティリティと構造的な変化により、多くのアセットオーナーがポートフォリオの見直しを進めています。アジアの機関投資家にとって、この混乱はプライベート市場へのより広範なシフトと相まって、オルタナティブ資産への投資を通じて、より回復力があり長期的な目標に沿ったポートフォリオを再構築する絶好の機会となっています。
プライベート市場は、このような時代にこそ真価を発揮する
市場の混乱期は、プライベート市場の戦略的な役割を浮き彫りにします。確かにバリュエーションは圧力を受けていますが、適応力を保ち、ファンダメンタルズを重視する投資家にとって、プライベート市場やその他のオルタナティブ投資ソリューションを活用し、ポジションを再調整する機会は十分にあります。
セカンダリー投資や共同投資は、その好例です。イグジット戦略の課題により、ジェネラルパートナー(GP)が新たに流動性確保の手段を模索せざるを得なくなった近年、これら新興セグメントは著しく成長し、流動性管理や質の高いマネージャーへのアクセス、ポートフォリオ構築の改善を後押しする中核的なツールとして定着してきました。さらに、こうしたセグメントの成長を促した条件により、投資家は募集超過のマネージャーへにより有利な条件でアクセスできるようになっています。マーサーの調査によると、現在、投資家は2017年の価格と比較して8~15%のディスカウントでPEセカンダリー投資のポジションを取得できる状況です。1
プライベートクレジットへの関心も高まっています。プライベートクレジットは、アジア全体のクレジット市場から見れば、まだほんの一部に過ぎませんが、急速に拡大しています。変動金利と低い時価評価のボラティリティにより、特にシニア・ダイレクトレンディングは、利回りとダウンサイド保護を提供し、全天候型ポートフォリオの構築を目指す投資家にとって重要な特性を備えています。
どのオルタナティブ投資にも言えることですが、アセットオーナーは各々の具体的な状況を考慮する必要があります。プライベート市場やオルタナティブ投資がもたらす高いリターンの一部は流動性プレミアムに起因しますが、投資家はどのような投資をする場合でも、自身の流動性要件に合致していることを確認する必要があります。
どのオルタナティブ投資ソリューションが、お客様のポートフォリオニーズに最も合致するかをアドバイスできる、適切なパートナーと協力することも重要です。長期的に非流動性資産クラスへの資産配分を選ぶ投資家もいれば、より柔軟なソリューションを必要とする投資家もいます。このような投資家には、セミリキッド・ビークルなどの選択肢がより適しているかもしれません。
また、提供されているソリューションについて深い洞察力を持つパートナーと協力することも重要です。オルタナティブ投資に関するデータの入手は難しく、異なる投資のパフォーマンスやリスク、エクスポージャーを把握するのも困難です。これは、私たちが最近発表したS&Pおよびケンブリッジ・アソシエイツとの提携の主要な推進力となっています。
ひとつ重要なアドバイスは、プライベート市場のタイミングを狙うのではなく、長期的な戦略を信じることです。すでに資本を投入しているのであれば、その方針を維持するよう心掛けてください。投資ペースを調整する必要が生じることもありますが、完全に撤退すると、将来の潜在的なリターンを逃し、戦略が損なわれるリスクや最終投資家に不利益をもたらす可能性があります。
現地のプレゼンス、グローバルな洞察
マーサーのアプローチは、アジアでも他の国際的な事業展開と同様に、グローバルな洞察に裏打ちされた現地での実行力を基盤としています。例えば、シンガポールの政府系ファンドには有効な手法が、日本の企業年金基金には必ずしも有効とは限りません。私たちは両市場にチームを擁しており、こうした微妙な差異を理解した上で、それぞれのニーズに合わせて戦略を調整しています。
日本におけるみずほフィナンシャルグループとの戦略的なOCIOの業務提携は、マーサーが現地のパートナーと協力し、クライアントに機関投資家と同等の質の高いソリューションを提供する好例です。私たちは、お客様の課題解決や投資能力の向上を促進し、長期的な目標達成に向けた成果を実現するお手伝いをしています。
地政学的リスクが高まる中、このローカルとグローバルを融合したモデルの重要性はますます高まっています。クライアントは、マクロ経済の全体像を理解しつつ、市場レベルで成果を出せるパートナーを必要としています。そこに、私たちの存在意義があります。
マーサーにできること
マーサーは、純粋なリサーチとアドバイザリーを主体とする企業から、包括的なグローバル投資パートナーへと進化してきました。私たちは引き続きオープンアーキテクチャーを採用し、特定の自社ファンドに縛られることなく、世界規模で運用能力を拡大しています。17.5兆ドルを超える助言資産と6,130億ドル超の運用資産を擁するマーサーは、グローバルなネットワークとマネージャーへのアクセス、柔軟な運用体制、そして強固なガバナンスを兼ね備えています。
しかし、私たちの真の強みは、クライアントとの協働にあります。私たちは単なる資産運用会社を目指しているわけではありません。コンサルティングの伝統に裏打ちされた真のパートナーとして、お客様と同じ立場に立ち、外部のマネージャーやグローバルなリサーチプラットフォームを活用しながら、クライアントの投資目標とガバナンスのニーズに合った、より機動的なポートフォリオの構築に向けたソリューションを共同で設計します。
私たちは単なる資産運用会社を目指しているわけではありません。私たちのコンサルティングに根差したDNAは、真のパートナーとしてクライアントと同じ立場に立ち、共に歩むことを意味します
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