グローバル株式における米国偏重の是非
月刊『企業年金』「資産運用コンサルタントの視点」(2026年4月号掲載)
1.はじめに
【図1】グローバル株式における国・地域別割合
(出所)MSCI、LSEG Datastreamのデータを基にマーサー作成
2.なぜ米国のウェイトは増加したのか?
【図2】グローバル株式 国・地域別割合推移
【図3】米国 セクター別時価総額増加寄与率
3.米国偏重の是正を図るべきか
こうした状況において、年金基金はどう対応すべきであろうか。現在の米国株式、特に大型成長株は各種バリュエーション指標でみると、歴史的に割高な水準にある。これにはかなりの程度将来への期待、特にAIへの期待が織り込まれているということであろう。ただ投資家の立場でAIについて今後どちらの方向に向かうのかを予測するのは困難だと考えられる。AIへの期待が行き過ぎであるとしてそこから降りるということにもリスクがあるという点は認識する必要がある。
米国株式は短期的にはバリュエーション調整が生じる可能性もあり、また現在時価総額上位にある企業間の優勝劣敗が明確になっていく局面もあるかもしれない。しかしながら、中長期的な視点では、今後もテクノロジーセクターにおいて圧倒的な技術革新と継続的な投資によって世界をリードしていくことが期待できること、日本や欧州等と異なって移民受け入れ等により労働力の維持が可能であるのに加え、解雇などの雇用調整が相対的に柔軟にできること、経営者が多くの自社株を保有している等、企業経営に株価を上げるインセンティブが働きやすいといったこと等もあって、なかなか他の地域が米国を凌駕していくことは容易ではないと考えられる。一方で昨年4月に米国が関税引き上げを発表した途端世界的に株式市場が急落したことに見られるように、米国に変調が生じた時にはむしろ米国以外の国の方がより影響を受ける可能性がある。こと投資対象としてみた場合には、米国株式の優位性は当面続くと考えた方がよいと思われる。
4.年金基金における現実的な対応
【図4】グローバル株式ポートフォリオにおけるスタイル分散(例)
現在のグローバル株式における米国偏重は確かにリスクとして認識する必要はあるが、スタイル分散を図ったり、アクティブ運用を活用する等、グローバル株式ポートフォリオの堅牢性を高めるための工夫をしながら付き合っていくことが賢明だと考えている。
本稿の内容や意見は筆者個人の見解であり、筆者の所属する組織の見解を示すものではありません。