2026年版 MARSH グローバル・アセットオーナー・バロメーター
見極めの時代:アセットオーナーはいかに資本を再配分し、ポートフォリオ管理を強化しているか
アセットオーナーは、資産配分を検討する際に、ますます幅広い選択肢に直面しています。選択肢が広がることで投資機会の幅は拡大しましたが、その一方で、最も適切な投資対象へのエクスポージャーを見極めることはより複雑かつ難しいものになっています。
2026年版グローバル・アセットオーナー・バロメーター[1]は、より明確で選別的な判断を行うアセットオーナーの現状を示しています。
今年の調査結果は、明確なメッセージを示しています。グローバルの機関投資家および富裕層のポートフォリオにおいて、強固なガバナンスは引き続き投資上の強みとなっています。明確な目的、信頼できる情報、明確に定義された意思決定、そして実行する能力が、差別化の創出につながります。一方で、ポートフォリオが組織の目的を明確に反映するものではなく、単なる商品の寄せ集めになってしまうと、複雑さが差別化を損なう可能性があります。
Global Chief Investment Officer, Investments and Retirement, Marsh
主な調査結果
短期の意思決定を左右する要因と、長期のポートフォリオ設計を形作る要因は異なっています。今後12か月では地政学的リスクが主導要因となる一方、今後5〜10年のアセットオーナーの構造的な重点課題では、テクノロジーと自動化が中心的な位置を占めています。アセットオーナーは、リターンの源泉、セクターの収益構造、資本市場に関する前提を変えうる要因を見失うことなく、現在の混乱に対応しなければなりません。
- 75.1%が、今後12か月間のポートフォリオ判断において地政学リスクを重要な要因と考えています。
- 82.8%が、テクノロジー、自動化、および、より広範なディスラプションを今後5〜10年における重要な要因と考えています。
アセットオーナーは、組織全体でのテクノロジー活用に関するガバナンスを整備するよりも先に、テクノロジーへの投資に目を向けています。データ、分析、オペレーティングシステムへの投資は加速しているものの、成熟した仕組みや明確な活用領域の検討は未だ道半ばにあります。投資とガバナンスの間にあるギャップは、技術的な潜在力を再現可能な投資能力に転換するという、より広範な課題を浮き彫りにしています。
- 57.7%が、AIツール、または活用例を今後12か月の資本支出の優先事項と位置付けています。
- 13.3%が、全社的なAI統制および明確な投資活用例を整備しています。
アセットオーナーの運用モデルは、対応すべき投資機会の広がりに比べて、遅れて変化しています。戦略的資産配分は依然としてポートフォリオ構築の主要なアプローチですが、アセットオーナーはポートフォリオ全体の分析、動的リバランス、資産クラスを横断した調整を取り入れつつあります。変化のスピードは、投資チーム、委員会、理事会が利用できる情報の質によって左右されています。
- 66.5%は、資産クラスに基づく戦略的資産配分フレームワークのもとで運用を継続しています。
- 38.4%が、効果的な意思決定を妨げる要因として、意思決定に十分な質のデータや分析の不足を挙げています。