マーサー「役員報酬サーベイ 2024 Executive Pay Survey」の結果を発表 

過去最多の1,029社(日本企業498社・外資系企業531社)が参加。役員報酬設計において「ジョブ型」を意識する企業が増加傾向

2025年1月23日

  • 売上高1兆円以上の日本企業のCEO総報酬の中央値は2億900万円であり、報酬構成比率は基本報酬(ABS):短期インセンティブ(STI):長期インセンティブ(LTI)≒4:3:3

  • 日本企業のCEO総報酬は、海外企業(独・英・米)に比べ大きく劣後するものの、基本報酬の差は抑制的であり、グローバルでの報酬競争力強化には変動報酬の引上げが鍵となる。なお、物価水準を考慮した報酬差は実報酬差の約半分に収まる

  • 日本企業は元来「役位」を報酬水準の決定要素として重視する傾向が強く、「ジョブタイプ(CEO/CFO/CHRO等)」での報酬差は抑制的だったものの、2023年以降はジョブタイプ別の報酬差が広がっている。また、役割・職務基準で報酬を決定する企業が最多の約60% であることから、従業員同様に役員報酬にも「ジョブタイプ」を報酬の決定要素とする“ジョブ型”企業が徐々に増えてきたと推察される

  • 取締役会を「監督機関」寄りに位置づける企業は約60%1、監督機能の主な担い手を独立社外取締役と定義する企業は約80%1に上る。ただし、80%超の企業では取締役会議長を社内取締役から選任1しており、監督機能強化に向けて独立社外取締役から選任することも検討の余地がある

 

組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、年金・資産運用のグローバルリーダー、マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 草鹿 泰士)は、日本における役員報酬に関する市場調査「Executive Pay Survey(以下EPS)」の2024年版レポートを発表した。

組織・人事変革コンサルティング部門 プリンシパル 役員報酬・コーポレートガバナンスプラクティスリーダーの河本裕也は、今回の結果を受けて今後の企業の取り組みの方向性について次のように述べている。

「2024年は、各省庁による発表や東証による資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた計画策定・開示等の要請など、 “形式から実質へ”というコーポレートガバナンス改革における直近のキーワードを具現化するための動きが目立ちました。引き続き2025年も、改革の本来の目的である、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を念頭に、自社にとって最適なコーポレートガバナンスのあり方を自ら議論し、取締役会とCEO・経営陣の役割を明確化した上で、それぞれの役割に応じた実効的な仕組みを構築していくという、改革の実質化ひいては結果の追求が求められています」

同部門 アソシエイトコンサルタントの大門弘和は、昨今の役員報酬・コーポレートガバナンスの傾向について以下のように述べる。

「日本企業の役員報酬水準は海外企業に比して見劣りするものの、基本報酬の差は必ずしも大きくないこと、物価水準を考慮した報酬差は実報酬差の半分程度であることを考慮すると、見た目の水準のみならず各国市場における報酬のあり方を精査した上で、各役員を適切にアトラクション&リテンション可能な報酬設計が必要と考えられます。コーポレートガバナンスにおいては、監督機能の担い手たる独立社外取締役を取締役会議長に任命している企業は2割弱と依然増加の余地を残しており、各社の監督機能の強化に向けた取り組み深化が望まれます」

マーサー役員報酬サーベイ(EPS)について

  • 役員報酬サーベイは、欧米およびアジア各国で実施されており、日本では前身のMERG(Mercer Executive Remuneration Guides)が2013年より調査を開始
  • 役員報酬に必要なデータ(基本報酬・手当・短期インセンティブ・中長期インセンティブほか)を網羅的に提供。役位のみならず、ジョブ(CEO, CFOなど)や「役割の大きさ」を反映したグローバル共通のジョブザイズ(PC: Position Class)を用いた比較も可能であり、日本企業・グローバル多国籍企業の双方の視点から役員報酬分析が可能
  • 役員報酬データに加え、企業のコーポレートガバナンスに関する取り組みについて調査したプラクティスデータも充実しており、自社の取り組み改善に活用いただくことが可能

役員報酬サーベイ(Executive Pay Survey)2024の詳細も併せてご覧ください。


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